扉ページへ 前のページ次のページ
 
 
 110,000kWの発電力がもたらすもの。

八丁原発電所は1号機55,000kW、2号機55,000kW、合わせて110,000kWの発電力を持ち地熱発電所としては日本最大の規模である。年間発電量は8億7千万kW。緒方さんは「八丁原発電所で年間約ドラム缶100万本分の化石燃料が削減できます。」発電で最もCO2の排出量が少ないのは水力発電、次に原子力発電、3番目に地熱発電となっている。地球環境にとって価値の高い自然エネルギーである。
発電所開発方法して「地熱開発事業者から蒸気を買い発電を行なう方法と、地熱資源調査、開発から発電所建設、運営までを行なう一貫開発がありますが八丁原発電所は一貫開発です。」と緒方さん。この方法は発電所施設やシステム作りに柔軟性が生まれるという。
 
CO2排出抑制に効果を発揮する地熱発電、地球環境にとって価値は高い。
写真:九州電力/大分支店ホームページより


 発電出力を15%〜20%増加させるシステム。

地熱発電におけるエネルギー源は@蒸気のみA熱水が少し混合した蒸気B熱水が多く混合した蒸気の三つに大きく分けられるが、現在の地熱発電はこうした異なったエネルギー源に応じた方式を採用している。

[ダブルフラッシュ方式]
これは地上に噴出した蒸気に多くの熱水が混ざっている場合のために考えられた方式。九州電力と三菱重工業が世界に先駆け共同開発・実用化したもので昭和55年度機械振興協会賞を受賞している。
仕組みはこうだ。蒸気井(じょうきせい――蒸気を取り出す井戸)から噴出した蒸気と熱水を二相流体輸送方式(蒸気と熱水を同時に輸送する)によって気水分離器(蒸気と熱水を分ける)に送られ、ここで1次(高圧)蒸気と熱水に分離される。熱水はフラッシャーで減圧膨張され2次(低圧)蒸気を発生させ、1次蒸気と2次蒸気によってタービンを駆動させる。これによって蒸気のみを使用するシングルフラッシャーに比べ発生電力を15%から20%増加させることができ、熱の有効利用が図れると言う。

   
蒸気と熱水を同時に気水分離器に送る、二相流体輸送管。
写真提供:九州電力/八丁原発電所
  蒸気と熱水を分ける
気水分離器。
写真提供:九州電力/八丁原発電所

  気水分離器断面図
拡大する
図提供:九州電力/八丁原発電所

     
気水分離機で分けられた熱水を減圧膨張させ2次(低圧)蒸気にするフラッシャー。
写真提供:九州電力/八丁原発電所
  フラッシャー断面図
拡大する
図提供:九州電力/八丁原発電所

   


 低温度の蒸気や熱水でも発電を可能にしたバイナリー発電。

八丁原発電所のもうひとつの特徴として緒方さんは「ここにはバイナリー発電があります。これは地熱資源の質(蒸気や熱水の温度が低くても)、例えば100℃の湯でも発電に使用できる発電方法で、使用できる範囲を広げることができます。」従来の地熱発電では利用できなかった低温度の蒸気や熱水を熱交換器で加熱・蒸発させペンタンと言う媒体蒸気で発電させる方式である。八丁原発電所は長期使用によって蒸気の温度・圧力が衰えた蒸気井を、バイナリー発電によって有効活用している。
緒方さんは「国内ではここだけの運用で太陽熱や風力は再生可能エネルギーとしてRPSに認定されていますが、地熱発電ではこのバイナリー発電が認定されています。」RPS(Renewable Portfolio Standard)は2003年に電気事業者向けに施行された制度で“決められた再生可能エネルギーの総量を最も安いコストで実現することができる”と言う制度。バイナリー発電はこのRPSに適合した地熱発電として新たな可能性を広げている。
 
地熱発電の新たな可能性を広げた八丁原バイナリー発電施設。
撮影協力:九州電力/八丁原発電所


 遠隔コントロールシステム、制御室。

緒方さんは「この制御室は2km離れた大岳発電所が運転、監視、制御などコントロールしています。緊急の時は有人体制に入ります。例えば雷の発生とか・・・雷が通り過ぎるまで大変、今年(平成20年9月2日取材)は雷が多くて大変でしたね。」と笑う。  
2キロメートル離れた大岳発電所で遠隔コントロールされている制御室。
撮影協力:九州電力/八丁原発電所


 年間4万人が見学に訪れている。

観光やドライブ途中に「飛込みで来る人も多いですね。観光の方、陸上とかの合宿中の人も来たり、年間4万人が訪れています。」と緒方さん。

     
         
[施設見学]
屋外設備・屋内設備(タービン)が見学できる。
撮影協力:九州電力/八丁原発電所
  [八丁原発電所展示館]
地熱発電の仕組みなどがパネルやマルチ映像で見られる。
写真提供:九州電力/八丁原発電所

   


●見学についての詳細は――
http://www.kyuden.co.jp/life_pavilion_hachobaru_index.html

●八丁原発電所については――
http://www.kyuden.co.jp/effort_geothermal_t_hattyoubaru


緒方さんに発電所が一望できる高台に案内していただいた。沸き立つ蒸気は木々の緑に溶け込み、静かな山間の一つの景色となっている。緒方さんは今後の展望について「地熱発電は、CO2排出抑制効果が高いため、発電所の安全、安定運転を続けることが現場としては重要と考えています。」と言う。エネルギー問題と地球温暖化問題は、もはや切り離して考えることは出来ない中、地熱発電は日本において総発電量の1%に満たないが、長い目で見てCO2排出抑制、電源の多様化に応えるものとしてその役割は大きい。九州電力CSR報告書(2008)は「〜中略〜引き続き、地熱発電所の有望地点の調査を行い、開発の可能性について検討を進めていきます」と伝えている。
エネルギー資源を持たない日本、しかし地熱資源に恵まれた日本。その地質特長を生かした純国産のクリーンエネルギー作りに期待がかかる。
 
 
扉ページへ 前のページ次のページ
 
copyright (C) kobelco all rights reserved.