特集

情報誌で振り返るアルミ・銅の歴史 ②(1975~1991)

暮らしと産業を支える銅

性能と施工性にすぐれた新しい配管材(1975年11月 115号)


「サーモエコー®」の直管と継手
 

1970年代の中ごろになると、高級建売住宅やマンションをはじめとして、一つの大型湯沸器やボイラーによって給湯と温水暖房を兼ねる、セントラル給湯・暖房設備が多く採用されるようになってきた。それにともなって、配管や配管後の被覆や塗装などの工事が重要になり、工期に大きなウエイト占めるようになってきた。そこで神戸製鋼は、配管工事を省力化して工期を短縮できる被覆銅管「サーモエコー®」シリーズを開発した。これは、耐食性や加工性にすぐれた銅管の外側を、種類と構造の異なった合成樹脂で被覆したもので、これまでのような配管後の被覆・塗装作業は不要となった。保温・断熱・耐薬品・耐候性にもすぐれており、給水・給湯・温水暖房などの配管材としては理想的なものだと書かれている。

豊かな水とエネルギーをめざす神鋼の復水管(1976年6月 120号)


大分市中ノ洲に設置された海水淡水化テストモジュール
  石油よりも水が高いと言われる中近東の産油国では、その豊かなオイルマネーによって、1970年以降、大型造水プラントの建設がすすめられている。記事では、海水淡水化の方法と、それに使われている神戸製鋼の復水管について紹介している。海水淡水化、つまり海水から真水をつくる方法としては、「蒸発法」「膜法」「冷凍法」などがあり、そのなかでも「蒸発法」の一つである「多段フラッシュ型」といわれる方法が全体の7割を占めているという。そして、この「多段フラッシュ型」造水装置として、1975(昭和50)年に大分市中ノ洲に設置されたテストモジュール(研究用装置)に採用されたのが、全長34メートルという世界一長い神戸製鋼の復水管である。材料となったアルミブラス管は、銅、亜鉛、アルミを主成分として少量のニッケルを加えた合金管で、「海水を冷却水として用いる復水管としては、わが国で最も広く使用されている」銅合金なのである。

暮らしに美しさを添える銅製器物(1978年12月 140号)


新光金属株式会社ショールーム
  新潟市燕市に本社と工場を持つ「新光金属株式会社」は、すぐれた品質の卓上・台所用各種銅製器物を製造し、国内から海外までの広い市場で実績をあげているトップメーカーである。輸出専門でスタートした同社の製品は、銅製器物の先進国の欧米で高い評価を得ていたが、この記事が書かれた数年ほど前から国内販売へも力を入れており、現在では国内販売の比率が輸出を上回っているという。記事では新光金属株式会社の取り組みを報告し、「銅製器物の製造には工芸品のような伝統的職人技術と、効率的な機械力の両方が必要であり、その調和が品質を決定する」と記している。

情報を支える銅合金リードフレーム(1982年11月 162号)


  「現代はエレクトロニクスの時代。なかでも日本は、こうした分野で世界の最先端を走ってきた。そして、そこから生まれた優れたIC(集積回路)やLSI(大規模集積回路)といった半導体は、いまや暮らしに欠かせないものになっている」。この時代を振り返ると、いたるところでエレクトロニクスという言葉が使われていた。1980年代に入ると、appleⅢ(1980年)や、NECのPC-8801(1981年)などといったパーソナルコンピュータの登場によって、まさに「エレクトロニクスの時代」を迎えることになる。オフィスではOA革命が、産業ではFA革命がおこり、さまざまな業務がオートメーション化された。もちろん家電の多くにもICやLSIといった半導体は使われ、暮らしを便利にするとともに、この時代を象徴する「インベーターゲームなどのゲーム類、国鉄のみどりの窓口の予約業務」などにも欠かせないものになっていた。こうした半導体の素子やチップを支持固定する台座がリードフレームである。リードフレーム材には、熱伝導性、強度、熱拡張係数、耐熱性、さらにめっき性やプレス性などが求められているが、こうした要望に応えることができたのが、神戸製鋼が開発した「KFC®」や「CAC®92」という銅合金だった。


LSIチップとワードプロセッサー

世界に誇る秦野工場の高性能銅管とその技術(1987年7・8月 189号)


クーラー用銅管
  この年、家庭用ルームエアコンの国内普及率が60%近くに達した。それに呼応するように銅管のニーズも高まりを見せており、秦野工場で生産されている銅管は、確かな品質と独自の薄肉化技術が高い評価を得て、国内はもとより世界各地に供給されていた。その技術力の高さは、米国の水道用銅管のトップメーカーである「ハルステッド社」との間で、エアコン用高級薄肉銅管に関する製造技術供与契約を結んだことからも伺われる。このころ秦野工場では、家庭用・業務用空調機向銅管、各種熱交換器用銅管、暖房の各種熱交換器、給水・給湯用の各種配管、各種プラント用製品などを生産していた。
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