特集

情報誌で振り返るアルミ・銅の歴史 ②(1975~1991)

事業の拡大と設備の充実

シンガポールに銅管製造会社設立(1976年9・10月 123号)


SKPLのある場所(ジュロン)
  神鋼商事と日商岩井の資本参加によって、日本資本100%の現地銅管製造会社「SKPL(シンガポール・コーベ・プライベート社)」の設立を決定したというのが記事の内容である。「年間3000トンあるといわれる、シンガポールをはじめ、マレーシア、インドネシア、タイなどの銅管需要に即納できる体制を確立し、同地区の銅管販売を永続的に安定確保するとともに拡大しよう」というのが設立の骨子である。その後SKPLは、1987(昭和64)年に同じくシンガポールに設立されたリードフレームの製造販売会社「KLS(コーベ・リ-ドフレ-ム・シンガポ-ル社)」と2003年に統合、現在はリードフレームの製造・販売を行っており、銅管製造事業は現在、「KMCTマレーシア(コベルコ マテリアル・カッパーチューブ・マレーシア)」が担っている。

パワーアップ・真岡 第三期計画(1981年1月 153号)


真岡製造所全景
  この記事では、「パワーアップ・真岡」と題して、真岡工場の第三期計画を紹介している。「六段式冷間圧延機」をはじめとする第三期計画の狙いについて真岡工場の工場長は、「板は真岡に、押出は長府に集中することになり、(中略)長府の板関連の設備を真岡に移設しました。3年前の10月からはじまり、終わったのが一昨年の5月です。(中略)ところが、実際の設備のバランスを見ますと、熱間圧延能力が月産20000トンあるのに対して、冷間圧延能力が月産9000トンというアンバランスな状況でした。第三期計画の狙いの一つは、この熱延と冷延の設備能力的なアンバランスをなくし、冷延能力を高めることにあります」と語っている。

新時代を迎えた名古屋工場(1986年4月 181号)


8000トンプレス
  当時名古屋工場で製造されていた航空機部品は、国内航空機メーカーのみならず、欧米の最新鋭旅客機部品にも採用され、「今や世界中の空を雄飛している」と記事では紹介されている。それを可能にしたのが1981(昭和56)年に新設した「8000トンプレス」だという。このプレスの導入によって、それまで輸入に頼らざるを得なかった材料の国産化が可能になり、精密鍛造技術においても欧米諸国と肩を並べるほどになった。「鍛造技術の粋を極めた「8000トンプレス」は、今後さまざまな分野に製品を送り出すことが期待されていますが、何といっても注目すべきは先端分野をささえる製品にほかなりません」と述べ、精密鋳鍛造品によるコンピュータ、医療機器分野への取り組みを紹介している。

明日のエレクトロニクス時代を担う長府工場(1985年4月 175号)


新たに導入した「二十段圧延機」
  この年、リードフレーム材を製造する神戸製鋼長府工場は、生産性を向上するために日本初となる広幅高速の「二十段圧延機」を導入した。長府工場ではこれまでも「二十段圧延機」を稼働していたが、新たに導入した「二十段圧延機」は、コイル単重を大きくすることでラインスピードを従来の2倍にアップしたと報告している。さらに品質面でも向上しており、薄肉で、しかも厳しい寸法精度に応えられるようにもなったという。圧延機以外の設備としては、製造の効率を格段に進化させた連続焼鈍ライン(APライン)の導入を紹介している。記事の最後には、当時の長府工場工場長・製造部次長の「今まさに長府工場は、技術集約的頭脳集団に変化しようとしている。それは、板条部門が長年の低迷から脱却するためにここ数年来、先端分野に積極的に開発投資してきたという経営施策があったからである」という言葉を紹介している。

特集・生まれ変わりつつある門司工場 (1986年9月 183号)



  「70年近い銅および銅合金素材製造の歴史を誇る門司工場では現在、その豊かな経験をもとに、最先端テクノロジーによる数々の製品を世界の市場に送り出している」。その中で大きな期待と注目を集めているのが、「熱間静水圧押出プレス」を用いて開発した各種複合材料によるさまざま製品」である。「熱間静水圧押出プレス」 によって、「これまで難しいとされていた各種異形材、あるいは複合材、粉末合金、難加工材などの押出加工」が容易にできるようになったという。その例として、「化学・メッキ工業の電極用チタンクラッド通電棒」「超電導線」「装飾用軽量複合材」「電極チップなど耐熱性導体」などをあげている。珍しいところでは、「装飾用軽量複合材」として、複合線材がメガネフレームやファッションリング、イアリングなどにも採用されていたという。

超電導線とメガネフレーム

門司工場の生産を移管して新たに「神鋼メタルプロダクツ」設立。(1988年4・5月 193号)


「神鋼メタルプロダクツ」設立を伝えるTOPICS
  193号の「TOPICS」ページでは、門司工場の生産が新設の「神鋼メタルプロダクツ」に移管されるというニュースが報告されている。主力の復水管の生産がピーク時の2割以下に落ち込んできたことなどにより、門司工場の生産体制の抜本的見直しが行われたのである。 この193号が発行された翌年の1989(平成1)年の「けいしんニュース」の特集では、移管先である神鋼メタルプロダクツの発足1年後の現況を報告している。そのなかで当時の社長は、「旧門司工場時代は、神戸製鋼の企業環境もあって、大きいものを、大量のものを、というのが営業の力点になりがちでした。しかし神鋼プロダクツでは、きめ細かな小回りを基本方針にしています」と述べている。記事では、その代表的なものとして、「各種熱交換器」、「連鋳用モールド」、「フレキシブルチューブ」などの加工品を紹介している。

コンピュータ用熱交換機

神戸製鋼、米国アルコアと提携。(1991年1月 205号)


記者会見の様子
  神戸製鋼と世界最大のアルミメーカーであるアルコア社(Aluminum Company of America)が日本国内で合弁会社を設立したというニュースである。神戸製鋼にとってはアルミ地金を安定的に確保できるというメリットが、アルコア社にとっては世界のアルミのトップメーカーでありながら日本のキャン材市場でのシェアがわずかしかなかった弱点を克服できるというメリットがあると記事では紹介している。新会社「KAAL(神鋼アルコアアルミ株式会社)」は1993(平成5)年、真岡製造所で生産を開始することになったが、この提携によって、アルミ缶材の生産・販売事業だけでなく、自動車を中心とする輸送関連部材のアルミ化促進など、両社はアルミ事業を広範囲に推進していくことになった。

「KAAL」誕生でさらに飛躍する真岡 製造所・工場REPO 真岡製造所(1991年7月 208号)


レポーターと所員の皆さん
  この号からはじまった「製造所工場REPOシリーズ」では、女性レポーターが真岡製造所を訪問して、さまざまな人にインタビューしている。そんな中で当時の真岡製造所所長は新会社「KAAL」の設立にふれて、「キャン材分野が「KAAL」に移行することによって、その分真岡製造所に余力ができます。そこを生かして、アルミによる軽量化が注目の的になっている自動車材はもちろん、フィン、箔地、建材など、他のあらゆる分野で増加する需要に対応していきたい。やりたいことは山ほどあります」と語っている。

長府製造所アルミ押出プレス新設(1991年5月 207号)


新設プレス機
  車両、建築の分野を中心として、アルミ大型押出形材の需要はこのころ大幅に増大していた。こうした需要に対応するために、長府製造所に3900トン押出機1基の増設を決定し工事を進めてきたが、ようやく設置が完成したというのが記事の内容である。新設のプレス機の生産能力は月間700トンであり、従来のプレス生産能力2700トンと合わせて、神戸製鋼のアルミ押出生産能力は月間3400トンとなった。

けいしんニュース30周年(1989年7月 199号)


30年間を振り返ったページ

当時の海外関連会社
 

「30年間のさまざまな歩みを振り返り、皆さんとともに、次の時代へとステップアップしていきたいと考えています」という冒頭のあいさつに続いて、30年前に新入社員だった方や、「けいしんニュース」の編集に関わっていた社員の思い出話を紹介している。 また、30年間の年表とともに、アルミキャン材、電子部品、輸送機器用アルミ材、金型、建築用材の取り組み、さらに海外の関連会社も紹介している。

 

(以下次号)
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