特集

門司工場の歴史と現在

新事業への展開

リードフレーム一貫メーカーのスタート

復水管事業が落ち込む中、復水管以外の新製品に活路を見出していた門司工場が力を入れたのが、リードフレーム事業である。当時半導体各社が集中していた九州地区では、リードフレームなど電子材料分野のニーズが拡大していた。すでに長府工場ではリードフレーム用銅合金としてKLF®(Kobe Lead frame)シリーズを販売しており、さらに表面処理などの付加価値をつけて拡販できるよう、めっき処理に高い技術を持つ北村鍍金(現メテック北村)と共同で、1984(昭和59)年に「リードミック株式会社」を設立することになったのである。また翌1985年にはスタンピング事業にも進出し、素材~めっき~スタンピングの一貫メーカーとして新事業をスタートした。 現在リードフレーム用材料として使われているKFC®(Kobe Ferrous Copper)という合金がある。銅母材に微量の鉄とリンを添加した銅合金で、強度と耐熱性は純銅の1.5倍、導電率は90%IACSと、強度と導電率の抜群のバランスを誇っている。現在は神戸製鋼の特許が切れているので類似製品が他社でも製造されているが、2005年には、世界中で生産される同等品推定約5,000t/月のうちの4割を神戸製鋼が製造していた。こうした合金の開発も新事業に拍車をかけることになった。

独自の熱間静水圧押出プロセス


熱間静水圧押出プロセス
  1983(昭和58年)には独自開発した技術を基に「熱間静水圧押出プロセス」を完成させた。これは従来の押し出し方式とは異なり、ピレット材の周囲に圧力媒体を介在して押し出す方式にある。金属素材へ圧力を加えるのは硬いものではなく粘塑性圧力媒体、つまり液体である。液体なので素材のどの部分にも均等に圧力がかかり、これにより接合面も押出成型の形状もすべて均一になるのである。この「熱間静水圧押出プロセス」によって、これまで難しいとされてきた各種の異形材や難加工材などの押出し加工も容易にできるようになった。「熱間静水圧押出プロセス」は門司工場が新分野を開拓していくうえで大きな力になっていった。

門司工場の分離解散

門司工場は業績を伸ばそうとあらゆる努力したが、「鉄冷え」と呼ばれた鉄鋼・金属の低調とそれに伴う合理化方針の中で、1988(昭和63)年、神戸製鋼の組織変更とともに分離独立することになった。その結果門司工場は、資本金2億円、従業員160名を擁する新会社「神鋼メタルプロダクツ株式会社」として再出発することになったのである。1985(昭和60)年に開始したスタンピング事業については、一時長府工場の組織に組み込まれていたが、2002年にリードミックと統合され「神鋼リードミック株式会社」として操業を開始した。現在神戸製鋼門司工場は存在していないが、神鋼メタルプロダクツと神鋼リードミック、そしてメタルプロダクツと同じく押出、抽伸技術を引継ぎ超電導線材を製造しているJASTEC門司工場(2002年設立)が、かつて神戸製鋼門司工場があった場所で、100年にわたる歴史を今も紡いでいる。

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