特集

門司工場の歴史と現在

神鋼メタルプロダクツを訪ねる

 


神鋼メタルプロダクツ株式会社 
顧問役
元代表取締役社長 原口一彦氏
  神鋼メタルプロダクツは1988(昭和63)年、門司工場の銅関連事業を引き継ぐかたちで発足した。現在の神鋼メタルプロダクツは、1937(昭和12)年に増設されたJR鹿児島本線を挟んだ海側にある。戦前期からの施設を多く遺しており、歴史を感じさせる工場である。神鋼メタルプロダクツの顧問役で今年6月まで代表取締役社長を務められた原口一彦氏に話を伺った。

現在の主要な取り組みについて教えてください。


神鋼メタルプロダクツ全景
  銅管と銅合金管事業が全体の売上の約6割を占めており、神鋼メタルプロダクツの主力製品になっています。門司工場が創業した100年前は、銅管と銅合金管が100%を占めていましたが、時代とともにこの割合は減ってきています。

銅管・銅合金管はどんなところに使われていますか。


復水菅
  用途としては、海水から真水をつくる海水淡水化装置の復水器や、パワープラントではタービンを回したあとの蒸気を水に戻す復水器に使われています。銅合金は海水に強いので船舶に多く使われていますが、原油タンカーの中のオイルヒーターなどの配管関係、石油化学では各種熱交換器にも使われており用途は多彩です。
   

熱交換器の製造
   

銅管と銅合金管以外の取り組みについて教えてください。

  銅管のほかには銅をベースとしたモールド製品が売上の約2割を占めています。これは鉄の連続鋳造用モールド(鋳型)で、1982(昭和57)年から「チューブラモールド」の量産を始めています。日本では横広のスラブ鋼材を使用することが多いですが、世界、とくに新興国では四角に近いビレットを鋳造している国々が多いということもあり、そうした国に向けたモールドも生産しています。
 
チューブラモールド
 

通電棒

  もう一つが加工品です。これは全体の売上の2割を占めています。熱間静水圧押出プレスという独自の方法を活用した、複合線、クラッド材などが今後伸ばしていきたい分野です。複合材は、芯が銅で外側に耐食性のあるチタンなどを被覆した製品です。

「熱間静水圧押出プレス」とはどのようなプレスですか。


熱間静水圧押出プレス」

熱間静水圧押出プレスで製造した溝付二重管式熱交換器
  これは1983(昭和58)年に設置したプレスで、神戸製鋼が独自に開発した技術により、複合材料、粉末合金、難加工材料、異形材料など、これまで加工が難しかった各種先端材料の製造を可能にしています。(前ページ「独自の熱間静水圧押出プロセス」参照)。先ほどの通電棒ではビレットの段階でチタンと銅を組み込みます。押出された材料はチタンと銅が拡散接合といわれる原子レベルで接着されますので剥離が起こりにくい構造になっています。複合材のそのほかの用途としては、エアコンのコンプレッサーを保護するセンサーがあります。全世界で年間1億台のエアコンが生産されていますが、その中の30%に神鋼プロダクツの複合材が使われています。

航空機分野にも進出されていると伺いましたが。

2003(平成15)年から航空機分野にも進出しています。これまで、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の定点滞空試験機(地上監視飛行船)のゴンドラの部分や、航空自衛隊が採用している無人機の整備用架台を納入した実績があります。また、量産には至りませんでしたが、艦砲射撃訓練用の無人標的機を開発したこともあります。ほかにも、現在大型旅客機の中央翼を搬送する台を開発中です。航空機分野は特殊な用途が多く、高度な技術が要求されます。売上としては少量ですが、今後も継続的に力を入れていきたいと考えています。

神鋼メタルプロダクツが門司工場から引き継いだものはなんですか。

銅管をつくることで一時代を築いた門司工場ですが、もう少し大量生産に向いた工場にすべきだということで一部の事業が秦野工場に移りました。軽圧品は長府に移しましたし、大安工場の前身である名古屋工場も元をただせば門司工場になります。どんどん門司工場発の事業が外に出て行ってしまったわけです。そうした中で、常に新たな事業展開を図らなければいけないと模索し続けてきたことが、今日の神鋼メタルプロダクツにつながっていると思います。それが、「チューブラモールド」の開発であったり、「熱間静水圧押出プレス」の完成だったりします。

この工場の近くに神鋼神社というのがあると聞きましたが。


  羽山神社の中に神鋼神社というのがありまして、定期的に安全祈願祭などの行事を行っています。工場の中に神社があるところはありますが、外に神社を持っているのは神戸製鋼の中でも珍しいと思います。鳥居は神鋼メタルプロダクツ手造りの銅製加工品となっています。周りに古い石柵(玉垣)が残っていて、そこに門司工場の名前や寄進した金額などが刻まれています。
銅製の神鋼神社の鳥居 門司工場の名前と
寄進した金額が
刻まれている


 

神鋼メタルプロダクツ株式会社の概要
創 立      : 1988年4月1日
資本金     : 2億円
従業員数    : 184名(2017年3月31日現在)
所在地   : 福岡県北九州市門司区小森江2丁目2-1
 

 

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