TOP特集新製品・新技術歴史を見たマテリアル【新】こんなところにアルミ・銅
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モンちゃん:
アンサー氏、こんにちはー。
 
アンサー氏:
あれ、モンちゃん、どうしたの?今日はとてもきれいに見えるけど…。
 
モンちゃん:
えっ、ホントですかー?実は、今日、お勉強が終わった後でコンパがあるのでちょっと念入りにお化粧してきたんですよ、ふっふっふー。
 
アンサー氏:
はっはっは、なるほどね。でも、いつも通りでもモンちゃんはじゅうぶん美しいと思うよ。
 
モンちゃん:
アンサー氏ったら上手なんだから〜。そんなに褒めても何もでませんよ〜。まぁ、こう見えても、基礎のお手入れはしっかりしてるし、お肌には気をつかってるんですけどねぇ…えっへっへ。本当は男性も紫外線からお肌を守るUVクリームぐらいぬった方がいいんですよ。お肌って、紫外線にさらされるとどんどん錆びちゃうんですから!
 
アンサー氏:
お、それはまさしく今回のテーマ「表面処理」だなぁ。銅合金板状もお肌と一緒、表面をケアしてあげると美しさや機能を保たれるという話だよ。
 
モンちゃん:
お肌も金属も似たところがある??それは興味深いですね〜。
 
アンサー氏:
じゃあ、早速勉強を始めよう!さて、銅合金板条製品の素地はもともと淡い赤色なんだけれど、外気に長い時間さらされると茶褐色に変色したり、局部的に腐食したりするんだよ。
 
モンちゃん:
ああ、そういえば、私、前に銅製のアクセサリーをもらったんだけど、しばらく使わないうちにすっかり色が変わっちゃったわ。
 
アンサー氏:
普通そうなっては困るので銅合金板条製品の表面には、これらの変色等を抑制する防錆処理が施されるんだよ。ただし、この防錆処理皮膜はとても薄く外観的にはまったく判らない。
 
モンちゃん:
ナノミクロンってやつですね。
 
アンサー氏:
おお、さすが、その通り。でも、目に確認できるものもある……そうだな、建築物の屋根に施工される緑青銅板なんかも、表面処理技術の一例だよ。
 
モンちゃん:
なるほどー。精密機械の世界では、表面処理はもっと大切なんでしょうね。
 
アンサー氏:
もちろん。半導体や端子・コネクタ用電子材料用の銅合金板条製品にも、多種・多様なめっきが施されて、電気・電子部品の信頼性を高くしたり、機能向上に貢献したりしているんだ。この「めっき処理技術」は銅合金板条の表面処理としては特に重要なのさ。
 
 
アンサー氏:
「めっき」とは、御存知の通り装飾や防錆、機能向上などを目的に、金属で表面を覆うことだよ。身近なものにも、めっき処理されたものはいっぱいあるよね。例えば、指輪とか、そうそう、今年オリンピックで日本人選手がたくさんとった……
 
モンちゃん:
金メダルですね。へぇ、あれもめっきなんですか。
 
アンサー氏:
そういった装飾の他、さっきも言ったように自動車やコンピュータ部品、電気製品などでは外装の防錆はもちろんのこと、電気的な信頼性や機能向上のためにめっきは欠かせない技術なんだよ。
 
写真:端子・コネクタ、ICリードフレームのめっき実例
 
 
モンちゃん:
めっきをするには、どんな方法があるんですか。
 
アンサー氏:
大きく分けると溶液中で行う「湿式めっき」とそれ以外の方法で行う「乾式めっき」の2種類になるけど、「湿式めっき」は電気めっきと化学めっき、「乾式めっき」は溶融めっきと気相めっき(PVD)にそれぞれ分類される。今回は、銅合金の端子・コネクタやリードフレームの主流となっている電気めっきについて説明しよう。まず、図1を見てごらん。
 
図1:めっき模式図 【拡大する
出展:拡大図に記載
 
 
モンちゃん:
これは、液体の中にめっきしたいものを浸けてあるんですね。液中で電気を通すのかぁ。
 
アンサー氏:
そう。電気めっきは、めっきしたい金属を含んだ溶液中で、めっきしたい対象物を陰極として電気を流し、対象物表面にめっき金属を還元析出させるんだ。
 
モンちゃん:
この場合だと、銅を陰極として電流を流すのね。電子・電気部品には、銀の他にどんな金属がめっきされるんですか。
 
アンサー氏:
それは、表1を見てごらん。金や錫、ニッケル、はんだ、パラジウムなどだね。銅も各種めっきを施す前の下地としてめっきされることがあるよ。
 

「表1:めっきの特徴」

 
 
モンちゃん:
それぞれの特徴を生かしてめっきされるんですね。
 
アンサー氏:
うん、めっきの種類は、要求品質、要求特性、それにコストに合わせて適用されている。
 
モンちゃん:
めっきは、素材の時に施されるんですか。
 
アンサー氏:
そうとは決まってないよ。めっきの種類や用途、形状、生産性等を考慮した上で、素材の段階でめっき処理する場合もあれば、プレス加工途中もしくは加工後にめっきされる場合があるのさ。
 
 
アンサー氏:
自動車・家電製品が主体の端子・コネクタは主に錫めっきが施されているけど、その殆どは素材の段階でめっき処理をするんだ。その厚さは0.8〜1.5μmと比較的薄い。
 
モンちゃん:
それこそ、目ではわからないぐらいですね。
 
アンサー氏:
電気部品で接触する界面が裸の状態だと酸化し易く、酸化銅(CuO)や亜酸化銅(Cu2O)といった酸化皮膜を形成してしまうんだ。こうした酸化皮膜の電気抵抗は酸化していない銅と比較すると、はるかに大きい値となるからね。
 
モンちゃん:
銅とか銅合金自体は導電性に優れているのに、それではせっかくの特性が生かされないってわけね。でも、そこに錫をめっきしたとしても、錫だって酸化しちゃうのでは……。
 
アンサー氏:
もちろんするんだけど、錫の場合は酸化しない状態でも酸化した状態でも、その電気抵抗の差が少ないんだよ。しかも、電気抵抗は小さい性質があること、錫自体は非常に軟らかく接触界面での接合性も優れていること、さらに比較的コストも安く電気めっき処理できることなど、いろいろメリットがあるから幅広い分野に使用されているのさ。
 

「表2:比抵抗値の比較 (単位:Ωm)」

 
 
モンちゃん:
へぇ、錫って便利なんですね〜。安いっていうのは魅力ですよね。じゃぁ、高価な金は、どんな時に使われたりするのかしら。
 
アンサー氏:
そうだね、さらに高い信頼性を要求されるものかな。例えば、自動車のエアバッグなど人命にかかわるような接続部品にはプレス加工途中または加工後にニッケル下地めっきを介して金めっきが施されるんだよ。モンちゃんが言う通り金は高価だけれど、酸化もしにくいし、電導性が良いから特殊用途にされるんだ。
 
モンちゃん:
使うべきところには、ちゃんと使われているということですね。それ聞いたら、エアバッグの信頼性もさらに高まりましたよ…。
 
アンサー氏:
さっきも言ったけれど、端子・コネクタ用めっきにおける機能向上の目的には、第一に電気接点としての機能がある。端子・コネクタは電気的な接続に関わる部品だから接触抵抗が小さいことが重要で、その電気を流すという機能の劣化が少ないことが求められるんだね。
 
モンちゃん:
そのために、耐食や酸化させちゃいけないんですね。
 
アンサー氏:
そう、それと耐湿性も優れていないとね。で、めっきはこれらの条件を良好に維持できるんだ。
 
モンちゃん:
機能向上の目的の第二番目というのは?
 
アンサー氏:
信頼性さ。錫めっきにおいては普通の電気めっきを施しただけではウイスカという数ミリにも成長するヒゲ状の結晶組織が成長し、回路をショートさせてしまうことがあるんだ。ほら、これがウイスカ現象だよ。
 
真:錫めっきのウイスカ現象
 
 
モンちゃん:
わぁ〜、髪の毛みたいに細〜い!これを防ぐ方法はあるんですか。
 
アンサー氏:
めっき浴の組成管理や通電条件により防ぐのは可能だよ。そして、神戸製鋼では、この電気めっき技術を業界で初めて量産化して、いち早く自動車端子等へ採用されて今に至ってるんだ。
 
モンちゃん:
さすが!実績があるんですね。
 
アンサー氏:
ところで、錫めっき処理方法には、この電気光沢錫めっき方式とリフロー錫めっき方式の二つがあって、自動車・家電製品が主体の端子・コネクタには、いずれのめっき製品も幅広く使用されているんだよ。
 
モンちゃん:
その二つの方式はどういうところが違うんですか。
 
アンサー氏:
電気光沢錫めっき方式は、書いて字のごとく電気めっきそのもので、リフロー錫めっきは一旦電気錫めっきした錫層を溶融させて均一に固めたものなんだ。神戸製鋼では自動車用端子・コネクタ向けの特色ある銅合金メニューに錫めっきを施した製品を月々約1.500トンも生産しているよ。
 
モンちゃん:
まさしく産業へ多大な貢献をしているということですよね。
 
 
モンちゃん:
リードフレームのめっきはどうなんでしょう。
 
アンサー氏:
リードフレームは多色めっきという特徴的なめっきが施されるんだ。
 
モンちゃん:
多色めっき?いろいろなめっきっていうことかしら。
 
アンサー氏:
そう、異なるめっきを行うのさ。つまり、リードフレームにはシリコンチップを搭載する部位(ダイパット&インナーリード)とパッケージの外側に出て基盤にはんだ付けされる部分(アウターリード)があるけれど、それぞれ、要求される機能が異なるため、別々のめっきが必要になるんだよ。代表的なパッケージにおけるめっき例は、この表3を参考にして。
 
「表3:半導体の種類によるめっき例」
 
 
モンちゃん:
あら、ホントだ。銀やはんだや錫や…いろいろやるんですね。
 
アンサー氏:
ダイパット部分の機能向上の目的は搭載するシリコンチップとの接着/接合性(ダイボンディング)なんだ。ICパッケージの製作中も、完成して基盤に装着されてからも、リードフレームから剥がれてしまったらアウトだからね。
 
モンちゃん:
う〜ん、とするとチップとの接合性が良いめっきが必要になりますね。
 
アンサー氏:
その通り。チップとフレームの接合方法はいくつかあるんだけど、最も高信頼性が要求されるLSIでは、Agペーストを用いる樹脂接合法が主流になっている。このため、Agペーストと同じ金属でめっきをすることで、接合の高い信頼性を確保しているんだ。
 
モンちゃん:
同じ金属なら、接合性はバッチリですもんね!
 
アンサー氏:
これと同じ理由で、アウトリード部分は、IC回路基板に実装する際には必ずといって良いほどはんだ付けされるので、同じ金属系であるはんだでめっきを行うというわけなんだね。ただし、このはんだめっきも、従来はウイスカによるリードの短絡を防止するために錫ー鉛のはんだが使用されていたんだけど、最近は他の金属に変わってきたんだ。
 
モンちゃん:
それって、もしかして環境問題を考慮してのことですか。
 
アンサー氏:
御名答。鉛は人間に害を及ぼす危険性が高く排除しなければならなくなったので、錫ー銀、錫ー銅および錫ービスマス等のいわゆる鉛フリーはんだが実用化されているんだよ。
 
モンちゃん:
時代とともにはんだは変わる、ですね。と、リードフレームのめっきは加工する前と後とどちらで実施されるんですか。
 
アンサー氏:
AgめっきやNiめっき等はリードフレーム加工前で実施される場合と加工後に実施される場合と両方ある。それぞれ長短所があって、パッケージとしてのトータルコストと性能の面から選択されるんだ。フレーム加工前にめっきする場合は、加工後にダイパッドとなる部分のみをストライプ状や斑点状にめっきを行う技術が一般的となっているよ。
 
 
図2:半導体リードフレームの2色めっきの模式図 【拡大する
出展:拡大図に記載
 
モンちゃん:
ふ〜ん、図2を見るとどの部分にめっきが施されているかよくわかりますね。
 
アンサー氏:
最近では、ダイパット部のAgめっきとアウターリードのはんだめっきの両方の特性を兼ね備えたパラジウムめっきが実用化されている。この場合、パラジウム単体のめっきだけで良く、従来の「めっき処理→フレーム加工→組立→外装めっき」の加工プロセスと比較して「めっき処理→組立」のみでICパッケージが完成するんだ。
 
モンちゃん:
それは、生産性がグンとアップしますね!
 
アンサー氏:
外装めっきやそれに伴う輸送費等の経費もなくなるしコストダウンにもなっているよ。そうそう、神戸製鋼所ではグループ企業でリードフレームのプレス加工/めっき処理、外装めっき等の事業も手がけているから、素材から半導体完成品の一貫生産メーカーであるともいえるんだ。
 
モンちゃん:
いろいろ経験もあるし、連携もあるし、これからも、いろんな種類のめっき処理技術に対応した銅合金を提供していけますね。
 
アンサー氏:
そうだね。さて、今日の勉強はここまで。モンちゃん、ちゃんと理解できたかな。
 
モンちゃん:
は〜い、よくわかりました!もう表面処理のことなら何でも聞いてくださ〜い…なんて、今度アンサー氏に何か質問されて答えられなかったら“めっきがはがれた”なんて言われそうだから、ちゃんと復習しておきますねッ!では、次回のやさしい技術を楽しみにしています。
 
 
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